満額融資の成功≠不動産投資の成功となります。
不動産投資の『成功』は、借入を全額完済して初めて言える言葉です。
借入を完済し、なお安定収益と良質資産が残って、初めて『成功』と言えるのです。
そして、その資産を残された人にとっても同じことです。
サラリーマン不動産投資における融資について、詳しく解説していきます。
不動産投資における「融資」とは?
不動産投資における「融資」には、3つのポイントがあります。
- 「融資」の重要性について
- 銀行にとっての「投資」とは
- 借入相談におけるポイント
「融資」の重要性について
不動産投資の成功において、「融資」の占める割合はせいぜい2割程度です。
しかし、「融資」が付かないと「不動産投資」そのものが実現しないことも事実です。
銀行にとっての「投資」とは
銀行にとって『投資』=『リスク』そのもの。
銀行は『リスク』に対しては絶対に融資しない。
借入相談におけるポイント
- 融資条件と収支実績のアンバランスは、命取りになります。
- 重要なのは、事業計画に沿った融資を得られるかです。
完全解明!銀行の決済の仕組み
銀行の決済に対する仕組みでは、理解すべき5つのポイントがあります。
- 融資審査の流れ
- アパートローンとプロパーローンの違い
- 担保評価法について
- 安心なのは固定金利?変動金利?
- 元金均等返済と元利均等返済の違いとは?
融資審査の流れ
銀行審査には時間がかかります。
各段階で1日、稟議作成に2日、本部への書類送付を考慮すると、最短でも10日は必要となります。
アパートローンとプロパーローンの違い
アパートローン
- 商品概要はローン商品
- 審査はプロパー融資そのもの
- すべて本部稟議
プロパーローン
- 最大の相違点は、借入期間と金利設定。
- 設定期間は事業性設備資金に準じる。
- 金利設定もアパートローンのように規格されたものではなく、案件ごとの個別対応。
担保評価法について
積算評価の算出方法について
- ほとんどの銀行が、積算法による評価方法を採用。
⇒物件評価ではなく担保評価だから - 実勢価格>収益価格>時価>担保価格(銀行目線)
- 担保価格
ほとんどの銀行の評価は、時価の70%
例)時価1億円の物件でも、担保価格は7000万円
厳しい銀行は64%。中には80%でみる銀行も。
(ちなみに住宅ローンは100%)
銀行が、担保としてみない物件
- 再建築不可物件
- 借地権
- 法律違反物件
(建ぺい率/容積オーバー等) - 区分所有物件
安心なのは固定金利!?変動金利!?
固定金利
- 完済するまで、毎回返済額が確定。
- 収支計画の中で変動リスクを考慮する必要がなくなる。
変動金利
- 長期借入の場合、一般に固定金利より低く設定されている。
- 金利上昇リスクの考慮が必要。ただし、 低金利時代は10年以上続いている。
元金均等返済と元利均等返済の違いとは!?
元金均等返済
融資期間で均等に割った元金と、借入金残高から計算される利息分の合計額を返済。
⇒最初の返済額が高くなり、その後減る
元利均等返済
元利金(元金+利息)の合計額を融資期間で割って返済額を出すもの。
⇒返済開始から終了まで、同額
銀行窓口・担当者別の攻略法
- 担当者と融資可否の関係性
- 具体的な攻略法
- 銀行が貸したい人とは!?
- 銀行が絶対貸したくない人とは!?
- 属性だけで融資額が決まることはない!
担当者と融資可否の関係性
窓口の担当者に
- 不動産知識の ある or なし?
- 建築知識の ある or なし?
- 不動産事業の知識の ある or なし?
で、融資の可否は大きく変わってきます。
具体的な攻略法
知識がない担当者の場合
- 希望をわかりやすく伝え、「必ず返します」「十分返済可能な案件です」ということを、数字で示す
- 不動産投資に詳しい行員を人から紹介してもらう
- 取引のある銀行に持ち込む
- 支店はできるだけ大きなところへ
銀行が貸したい人とは!?
財務能力
- 自己資金(金融資産)のある人
- 本業が黒字の人
性格
- 不動産投資をする理由が明確な人
- 不動産投資におけるマイナス面(入居率を上げるのが難しい、購入後に莫大な修繕費がかかる等)を理解している人
- 家族とうまくやっている人
銀行が絶対貸したくない人とは!?
財務能力
- 債務超過な人
- 無職の人
性格
- 人任せな人
- 今後のビジョンが見えない人
- 利回りのことばかり言う人
- 真っ当な努力をしない人
- 不動産投資を夢見がちで考えている人
- 自分のことしか考えていない人
属性だけで融資額が決まることはない
不動産ローンの申し込みは基本的に、借りる人の年収だけで決まるわけではない!
(職業別に見る借りやすさの違いはある)
特に大切なのは自己資金と金融資産
貸借対照表で、負債<資産 であれば、「安心して貸せるお客様」になる
融資実行が近づく事業計画書の作成法
- 銀行の窓口に行く前に準備する資料
- 事業計画書に絶対書いておくべき内容
- 融資が近づく事業計画書を作成するための3つのポイント
- 事業計画書を提出する前の最終チェック
銀行の窓口に行く前に準備する資料
不動産関連の資料
- 物件概要書
- レントロール等の家賃と入居状況が分かる資料
- 不動産登記簿謄本、建物図面、公図
※事業計画書
所得証明書
- 源泉徴収表、確定申告書、住民税決定通知書(会社で取得可)
属性関連の資料
- 経歴書(氏名、住所、生年月日、勤務先等)
事業計画書に絶対書いておくべき内容
事業所在地と総事業費
- 対象物件の明細
どこの住所でどのくらいの広さの土地か等 - その他諸経費はいくらか
所用資金と調達方法
- 総事業費がトータルいくらになるのか
- いくらを借入で賄い、自己資金をいくらあてるのか
事業計画書を作成するときの3つのポイント
- 事業計画は簡素に分かりやすく書く。
担当者には、あまり手間暇をかけさせない。 - 物件情報は、分かりやすくリアルに書く。
- 融資案件が、銀行にとって安全かつ魅力的なものであることを数字で示す。
※ただし、決して嘘偽りの数字、玉虫色の計画書・情報であってはいけない。
事業計画書を提出する前の最終チェック
家賃設定は適正か?
- 近隣相場・物件概要から見て、十分入居を見込める家賃設定か否か
入居率は、妥当な設定か?
- 今後も事業開始時と同程度の入居率を維持していけるのか
敷金・礼金・更新料は、妥当か否か?
- 実態に即しているだろうか
金利交渉を有利にすすめるテクニック
- 銀行にとって「金利」とは!?
- 金利交渉をするタイミングとは!?
銀行にとって「金利」とは
銀行にとって、『金利=命』です。
- 金利は銀行にとって大事な収益源。
- 金利の引き下げは、その収益源を奪うこと。
- 融資の可否も決まらないのに、金利交渉!?
- 担当者にとって、本部稟議は融資承認獲得のためのボクシングリング。
先に倒れた方が負け。
金利交渉をするタイミングとは
- アパートローンであれば、ほぼ規格金利が設定されている。
- 銀行が、金利を提示するのは、最後の最後。
- 担当者も、本部決裁が出るまでは分からない。
継続して融資を実行してもらうために行うべきこと
- 継続融資に繋がる!絶対やるべき2つの活動
- 事業性融資について
継続融資に繋がる!絶対やるべき2つの活動
- 銀行窓口への訪問
- 収益物件の状況報告
- 年1回の決算報告は当然。
- 事業収支は、毎月作成。
- 計画とのブレ、内容と原因はしっかり把握。
- 著しい変化があった時は、内容を整理して銀行担当者に報告。
事業性融資について
- 法人貸出
- 法人としての決算実績が必要。(2~3期)
- 完全プロパー資金としての審査になる。
- アパートローンより条件(金利・担保評価・貸出期間など)は厳しくなる。
- ただし、代表者としての個人の属性は審査対象となる。
事業性融資について
- 決算は黒字が基本。
- 税金対策を理由に赤字計上は通らない。
- なぜなら、赤字決算では返済財源がでない。
⇒貸したお金が、返ってこないと判断。 - もちろん、特殊要因(初期投資、設備投資)による赤字は別の話。